2019
所在地 :札幌市中央区
用途 :住宅
構造 :木造
規模 :168㎡
Ua値 :0.21W/㎡k
(札幌版次世代住宅 ハイレベル)
C値 :0.4c㎡/㎡
パッシブ換気暖房住宅
Photos taken by:Hiroshi Nagai
札幌市中央区の住宅|温熱環境を整えながら緑と開放感を活かした設計
南側の緑を活かした開放的な住空間
この住宅は札幌市中央区の住宅街に位置し、南側隣地の庭とこの住宅の庭とを繋げる様な配置計画としています。周囲の住宅が比較的近接しているため、プライバシーを守りつつ開放的な空間を確保することが求められました。そこで、主要な生活空間を南側に大きく開き、リビングとダイニングをL型に配置することで、自然光をたっぷりと取り入れながら外部と穏やかにつながる様に考えました。 また、庭やテラスとの連続性を考え建蔽率ぎりぎりで庇を架けながらデッキをその下に配置し穏やかにつながってゆく空間を作りました、家の中にいても四季折々の風景を楽しむことができ、住まいの中で自然を身近に感じられるようにしています。
家族の気配を感じる吹き抜け空間
リビングとダイニングの間には透け感のある階段を配置し、空間を緩やかに仕切りながらも視線の抜けを確保しました。この階段は単なる移動手段ではなく、家の中心に位置することで、家族が自然と集まる場となるよう設計されています。さらに、吹き抜けを設けることで、1階と2階の空間が視覚的・空間的につながり、家のどこにいても家族の気配を感じられる設計としました。2階の各部屋はこの吹き抜けに面して配置されており、個々のプライバシーを守りつつも、開かれた住空間となっています。
光がやさしく包み込む仕上げ材の工夫
室内外の仕上げには、光の陰影を美しく表現できる凹凸のある素材を用いています。これにより、時間の経過とともに変化する自然光が、室内に繊細な表情を生み出し、穏やかで心地よい雰囲気を醸し出します。質感のある材料を用いる事で、光の粒子が空間全体に柔らかく拡し、朝のやわらかい光、昼間の明るい日差し、夕暮れ時の温かみのある光が、それぞれ異なる表情をつくり出し、日常の中に豊かな変化をもたらします。また、照明も同様に優しい光で質感を浮かび上がらせながら落ち着いた空間とました。
快適な暮らしを支える温熱環境
住まいの快適性を高めるために、断熱性や通風にも配慮した設計としています。高性能な断熱材を採用し、冬は暖かく、夏は涼しく過ごせるよう工夫しました。また、適切な窓の配置によって自然な風の流れを生み出し、機械に頼りすぎない快適な環境を整えています。床下に新鮮な外気を入れ、暖房設備により新鮮な冷気は温められ各部屋に浮力を用いて供給され、デマンド換気により湿度に応じて排気され設計としています。夏は、2階の和室に設けたエアコン1台で吹き抜けを介した全部屋を快適な温湿度にしています。日射制御とプランの工夫加えて断熱性能を考えてこれらを実現しています。