滑り出した瞬間、視界の先に広がるのは一面の白。
ただの雪景色のはずなのに、その奥にはいくつもの層が重なって見えてくる。
木々の間を抜けるたびに、光の入り方が変わり、
視線の抜けや重なりが、空間に奥行きをつくり出していく。
近くにあるはずのものが、少し遠くに感じられ、
遠くの景色が、ふと手元に引き寄せられるような感覚。
そのわずかな距離の揺らぎが、
スケールの感じ方をやわらかく変えていく。
滑るという行為の中で、風景との間に生まれる余白。
その余白が、景色との関係に静かなリズムを与えてくれる。
白銀の中で感じるのは、ただの広がりではなく、
レイヤーとして重なる奥行きと、心地よく保たれた距離感だった。


半年後のこの季節を思い浮かべながら、
机に向かう日々が続いている。
あの風景の記憶が、
空間のあり方を考える基準の一つになっているのかもしれない。