デザインだけではなく「性能」も考える家づくり
2008年、独立して3年目。
リーマンショックによってエネルギー事情が一変しました。
当時、燃費のあまり良くないJeepに乗っていた私は、
「デザインが良くても、燃費が悪ければ長く乗り続けられない」
という現実を強く意識することになりました。
そのとき決心したのが、
デザインと性能をしっかり両立させた建築をつくることでした。
Q値・Ua値とは何か?
現在、住宅性能を語るときに出てくる言葉が
Q値やUa値です。
けれども、一般の方にとっては
「聞いたことはあるけれど、よく分からない」
というのが正直なところではないでしょうか。
■ Q値(熱損失係数)
建物全体からどれくらい熱が逃げるかを示す指標です。
換気による熱損失も含め、
床面積で割って算出します。
つまり、
「室内と外気の温度差が1℃のとき、
1時間あたりどれくらいの熱が外へ逃げるか」
を表しています。
換気も含めて計算するため、
実際の暮らしに近い数値と言えます。
■ Ua値(外皮平均熱貫流率)
現在主流となっている指標です。
換気は含めず、
建物の外皮(壁・屋根・床・窓など)からの熱損失を
外皮面積で割って求めます。
いずれも
数値が小さいほど断熱性能が高い
ということになります。
「数値」は形と素材で変わる
ここで大切なのは、
これらの数値は単純なカタログ性能ではないということです。
・断熱材の種類や厚み
・窓や玄関ドアの性能
・基礎や床の構成
・建物の形状(凹凸の多さ)
これらが変われば、
同じ大きさの家でも性能は変わります。
逆に、同じ断熱材を使っていても
建物形状が異なれば熱損失量は変わります。
だからこそ、
「当社のUa値は〇〇W/㎡Kです」と一律にうたう広告を見ると、
その一棟一棟を本当に計算しているのだろうか?
と疑問を感じることがあります。
住宅の性能は、本来
一棟ごとに計算されるべきものです。
18年間、性能と向き合ってきた理由
2008年以降、18年。
私はすべての設計において断熱性能を意識し、
Q値計算から始まり、現在はUa値計算へと移行しながら
性能の裏付けを取り続けています。
目指しているのは、
・デザインだけが良い家でもなく
・性能だけを追求した家でもなく
両方が高いレベルで成立している建築です。
見た目の美しさと、
長く安心して住めるエネルギー性能。
その両立こそが、住宅はもちろんですが建物には必要だと考えています。