2009-11
所在地:札幌市南区
用途:住宅
構造:木造
規模:123.68㎡
Q値:1.369W/㎡K(1.0W/㎡K 3種熱交換を入れた場合)
換気:パッシブ換気

Photos taken by:Takashi Oosugi

この建物は、敷地購入前にどのような建物がこの敷地で可能か?の相談から始まった。
敷地は道路より約1層分下がったところから、なだらかに傾斜のある癖のある形状です。
条件として駐車スペースを2台分確保することもあり、必然的に玄関のアプローチの幅等は限られてきます。
予算を考えると大掛かりな擁壁工事を行うことはできません。
また、建物の排水は道路の排水設備に放流しなければならないため、2階に水廻りがおのずと集中します。
さらに、敷地の周囲の風景や光の取入れ方を考えると窓の付く方向決まります。
設計の初期の段階で暖房をどのように考えるか(一般的なパネルヒター・パッシブ換気暖房等)を話し合い、断熱設計を行うことで無駄な暖房費用(イニシャルコスト・ランニングコスト)を抑え、その分を断熱材等の本来必要不可欠な部分にコストをまわしています。
また、今回の住宅はなるべく安いイニシャルコストで暖房や換気を行うか考えた結果、パッシブ換気暖房を採用しました。
パッシブ換気暖房は、外気の取り入れをいったん地中を通すことで、地中熱を利用したシンプルな熱交換機の役割をはたしています。
1階の床下に取入れられたこの新鮮空気は、この床下空間で一度温められ、浮力により各部屋へと運ばれます。この暖かく新鮮な空気は計画された床下空間を通すことで、床暖房に近い効果があります。
各部屋で汚れた暖かい空気は2階居間の天井の勾配にそって上へと押し上げられ、一番高い部分から排気されます。
このように空気や光、敷地周囲を考えると必然的にこのような建物の形態やプランが導き出されました。