施工図チェック

専業の設計事務所だからこそ実現できる設計の自由度と現場監理

独立して20年、前設計事務所で10年が経ち改めて設計について考えてみた

設計の道を歩み始めた頃、私は朝から夜中まで、時には徹夜をし、土日の出勤も当たり前のようにしていました。残業手当や休日出勤の割増なども特にありませんでしたが、なぜか頑張れていたのは、夢があったからです。その夢を実現するためには、やらなければならないことが山ほどありました。インターネットが無かった時代、調べ物はほぼ書籍から。調べれば調べるほど新たな言葉が出てきて、その度に無限の調べ事ループに陥りました。しかし、そうして徹底して調べること、先輩の設計図や書籍の図面を読み込む練習が、現在に非常に役立っています。

一方、今の若い世代を見ていると、事務所の書籍をほとんど開かず、調べ物はネットから。ネットは確かに便利で、すぐに答えを得られる反面、その思考の深さが欠けているように感じます。また、事務所に入りたいと希望しても、休みが欲しい、給料はこれくらい欲しい、といった要望ばかりが先行し、即戦力にならないにもかかわらず、その要求をしっかり主張します。これ自体は悪いことではありませんが、実際に事務所に入ってみると、長続きしないことが多いのも事実です。

私自身も、最初は仕事ができなかったけれど、大学時代から設計事務所で図面直しや模型の手伝いをして、ある程度の即戦力を身につけていました。しかし、自分の仕事の出来なさに常に苦しみ、「給料が欲しい」「休みが欲しい」といった欲求があったとしても、ひたすら夢に突き進んだ10年間でした。

この経験を経て感じるのは、設計に向き合う姿勢の重要性です。設計事務所では、夢やビジョンを実現するためには何が必要かを常に考え、時には苦しみながらも乗り越えてきたという積み重ねがあります。専業の設計事務所のスタッフは、設計に対する情熱と士気が非常に高いことが大きな特徴です。設計と施工が分離していることによって、設計の自由度が高く、クライアントの要望を最大限に反映させることができます。私は独立してから、この自由度を活かしつつ、現場監理や見積もり精査にも徹底的に取り組んでいます。これにより、クライアントが理想とする住まいを質の高い形で実現することができるのです。

インターネットが普及した今でも、設計に必要な知識や思考は、単なる情報の集め方ではなく、深い考察に価値があると強く感じています。だからこそ、ATELIER O2では設計施工分離というスタイルを取り入れ、現場の細部にまで目を配りながら質の高い建築を提供しています。これまでの経験を活かし、今後も理想の家づくりに向けて夢を持って設計を続けていきたいと考えています。

建築士の監理業務について

建築士法では、建築士が工事監理を行う場合、工事が設計図書に基づいて実施されていないと認めた場合には、直ちに工事施工者にその旨を指摘し、工事が設計図書に従って行われるよう求めなければならないと記載されています。さらに、施工者がこれに従わない場合、その旨を建築主に報告することが求められています。

私が設計を行い監理業務を進める中でも、設計施工を行っている業者さんであっても、100%指摘項目がある部分があります。それは、難しい内容の指摘ではなく、かなり基本的な部分です。指摘が入るということは、裏を返せば、今まで自社の設計士から指摘(適切な現場監理なされていない)が入っていない証でもあります。これが社内管理の甘さを示しているとも言えるでしょう。

図面に記載されているかどうかはもちろんですが、記載が無い場合でも常識的な部分に関しては指摘をし、是正報告や写真の提出を促します

「監理」と「管理」の違いについ

監理:監理は建築士の責任で、設計図書の通りに工事が実施されているかを確認し、必要な指摘を行う役割です。

管理:管理は工事の進行状況、品質、安全などを管理する役割です。

監理業務においては、知識を深めるための勉強や実践が欠かせません。書籍や過去の経験をもとに、日々の現場でのチェックをしっかり行い、適切な指摘を行うことが、設計士としての責任だと考えています。

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