2019
所在地:札幌市中央区
用途:住宅(マンションリフォーム)
構造:RC造
規模:120.00㎡

Photos taken by: Hiroshi Nagai ・Takashi Oosugi

マンションリフォームで気をつけなければいけないのは、上下左右の居住している方々に対しての配慮とドアや家具をどう搬入するかも考えたうえでの設計です。
今回の設計ではエレベーターに入るサイズで家具や建具のデザインを行い、現場でジョイントできるディティールとしました。床材は下階への配慮から無垢材を使う事が難しく、かといって質感が無いのっぺりしたものでは良い雰囲気にならないので、今回はナラの合板フローリングの中でも厚い突板で節もある一枚物を選びました。新築であれば同じナラ材で扉や家具も揃えるところですが、マンションリフォームのように内装が重要視されるものにはもう少し荒々しく質感があったほうが良いと思い、目につきやすい垂直面は目の粗いタモ材で仕上げました。さらに、紙クロスも最も目の粗いものを選び、微妙な陰影が映り込むものとしました。タイルも光の揺らぎを感じられるものとしています。もともとお持ちのダイニングテーブルとベンチは天板が傷んでいたため、今回の工事と一緒に天板だけ同じ材質のものに張り替えをしています。
マンションでよくある天井を少しでも上げるために梁型だらけの凹凸の天井をさらに整えていきました。天井は低くなる方向ではありますが、入り乱れたラインを整理していくことで空間は整えられることとなります。
マンションリフォームは制約が多く大変な面もありますが、利便性を重視される方には必要な選択ですし、素材の工夫などで豊かな空間を作ることができます。いつも忙しくしているご夫婦と家族の生活の質も空間と同調し、シンプルながら濃密なものとなればと考えました。